2006年03月04日

Dull-colored pop 『ラパン・アジルと白の時代』@阿佐ヶ谷アルシェ

STORY

放浪、酩酊、乱闘、そして逮捕。生涯で十数回に渡る精神病院への収監。
自身の芸術を叩き売ってはすべて酒に変え、モンマルトルの街中に吐瀉して回った、
エコール・ド・パリ最大クズ、モーリス・ユトリロ。

彼がその厚塗りの画布に塗り込めた思いとは一体何だったのか?

実在の画家の生涯をポップ&シックに劇化する DULL-COLORED POP 第二回公演。
(公式ホームページより抜粋)


谷賢一が主宰(ということでいいんだよな?)の劇団、Dull-colored pop。
旗揚げ公演に引き続き、二回目の公演もどんなもんかと思ってチェックしてきた。
前回はゴミだらけのカオスのような舞台でエレキギターをかき鳴らしていたが
今回は打って変わって伝記的な戯曲だという。



【ステージ】

舞台には、何もなかった。
座席との継ぎ目もなければ、セットらしきものも何もない。ただの、部屋。
いや、ユトリロの絵はあった。額に入った絵のカラーコピーと、図録があった。
絵は壁一面に掛けてあって、図録は舞台中央の台に置いてあった。
芝居が始まるまで自由に歩いて絵を見てくれと、谷君が言った。
50人くらいの席がほぼ満席になっていて、みんながめいめいウロウロと
舞台の上でカラーコピーの絵を鑑賞していた。
不思議な絵面だった。まるで展覧会。
年齢層もそんな感じだ。決して若い人ばっかりというわけではなかった。
俺も一応図録をパラパラやったりしてみたけど
だんだん劇を観に来てるんだか絵を見に来てるんだかわからなくなった。




【感想】

100分、集中して観られた。


一言で言えばこれが感想になるかな。
始まりから終わりまで時間を意識させなかった。これはすごいことだと思う。
大体、演劇でも宝塚でも
普通は観ている間にどうしても一度か二度くらいは

「2時間の予定で今がちょうど1時間くらいか・・・」

とか

「終演までまだあと40分あるのか。それから電車で帰ると何時になるかなー」

とか、そういうことを考えてしまうんだけど。
要するにどっかでふっと集中が切れるんだと思う。
それは例えば役者がセリフ噛みまくったり、アガってたり
ストーリーに破綻があったり、
明らかに好みに合わなかったりしたときにそうなるわけなんだけど
今回に関して言えば、そういうことは、なかった。
これってプロの芝居を見ても5回に1回くらいしかないことだ。
公演時間がダラダラ長すぎないのもよかったのかもしれないけど
本当に最後まで違和感なく、流れるように観続けることができたから
あ、これはたいしたもんだな、と思った。



前述のとおり、ほとんど何もない舞台なんだけど
小道具もほとんど使わないでマイムでバーの風景を描写してみたり
主人公のユトリロはストーリーの半分くらい酔っ払ったりしてるんだけど
そういう所作が不自然に見えなかった。
結構練習したんじゃないかな、あれは。
俺は過去に落語を少しかじっていたせいで、そういうことに関してかなり疑い深いので、
酒を飲む仕草とか、どっかでボロ出さないかと思って
実はすっげぇつぶさに観察してたんだけど
ほぼ合格点。ユトリロがワインあおる仕草だけちょっと雑だったけど。
一杯に入ったボトルのワインは垂直に持ち上げるとそんなにスムーズに飲めない。
逆に、ママユトリロ(名前忘れちゃった)がユッテルに絵を見せるシーンとかは
絵を覆ってる布らしきものを外して絵を見せるところまで丁寧で
ちゃんと質感を意識しながらやってんだろうなーー、と感心したりしました。



ユトリロに関しては、酔っ払い画家だってことしか知らなかったけど
その裏の哀しさみたいなことが作風の変化とともにスッと入ってくる
とてもうまく作られたホンだと思いました。絵の使い方も効果的。
この公演時間でこれだけきっちりまとめるとは。グッジョブだよ、谷君。
役者さん達も前回に比べて格段にまとまりが出ていた。肩の力が抜けていたというか。
あと、狭い舞台で照明効果がいかに空間作りの役に立つのか
見せ付けられたような舞台でした。
次回公演も時間が許せば、行きます。



【ご参考】

Dull-colored popホームページ

posted by ジェリクルG at 22:49| ドバイ | Comment(4) | TrackBack(0) | ゲージツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ユトリロのママのシュザンヌの話は今週の土曜の「美の巨人達」でやるよ〜。
興味があれば見るヨロシ。

そうそう、日本橋三越で今ユトリロの絵が来ているよ。
昨日見た。
チケット差し上げましょうか?
Posted by はんな@私もユトリロ好き〜 at 2006年03月06日 15:25
うわー!元基くんに褒められてる。嬉しいなー。今回は割とカチッとしてギャグ少な目の話だったからどうかな〜と思ってたんだけど、100分途切れずにっては嬉しい。所作に関しては俺はまだまだ役者に言いたいことはあるけど、お客様に届いていたのならよかった。
公演準備期間が三週間という凄絶なタイムスケジュールの中で製作した割に、よいものが作れたとは思っています。あとはもう一歩、客の心にズキンと踏み込んでくるようなホンが書きたい。来てくれてありがとうね。

>はんな
え、今週土曜!すげー、絶対観よう。
Posted by Kenichi Tani at 2006年03月07日 00:54
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/frame/frame2.htm
↑番組情報

おいらのお気に入り番組です。日曜美術館よりも誰ピカよりも好き〜

ユトリロ好きだから芝居見たかったなぁ。
12月だったか1月に日本橋高島屋でユトリロ展やってたんだけど
とてもよかった。
泣けるよねぇ。哀しい人生だったのね、とつくづく思いました。
涙腺緩みっぱなしだったよ。

Posted by はんな@エコール・ド・パリシリーズで芝居を作っていくの? at 2006年03月07日 09:41
哀しい人生のユトリロ。
でも、その修飾語をとっても
あの絵の前に建つと不思議な哀愁に包まれるよね。
美しい絵なのかといわれると、うまく答えられないけれど、
心を捉えてはなさない絵であるなと思います。

他人のブログで、何やってんだ、わたし。
ken君、G氏すまぬ。
Posted by はんな@おわ!途中で送信 at 2006年03月07日 09:44
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